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「…………」
見つめたまま、動きを止めてしまったのは画面に表示された文字が『非通知』だったからだ。
木嶋が救急搬送された今、俺に電話をかけて来られる状況にないことは分かりきっている。
だとすると、この電話の相手は……。
逸る気持ちを落ち着かせるように、ハンズフリーを耳に差し込み俺はスマホの画面をタップした。
「……はい」
「…………」
無言の相手に軽くため息をついてから、俺は22年前の答えに向かって車を発進させた。
通りに出て、2つ先にある交差点を右折すれば、まだ火災現場となった木嶋屋の前には多数の消防車が止まっている。
見るも無残に焼け落ちた木嶋屋の様子を横目に烏川の橋を渡り始めた頃、ようやく電話の相手が言葉を発した。
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