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「木嶋屋がどうして燃えたのか教えてやるよ」
「……だからお前は誰なんだよ」
しかし俺の問いかけなど全く聞く耳も持たず、電話の相手は淡々と話を続けた。
「木嶋屋の二階には、あるものが隠されていたからだ」
「……あるもの?」
「もうじきお前も、それが何だったのか知ることになるだろう」
「…………」
「その前に、螻蟻潰堤が消されるかもしれないけどな」
「……お前……もしかして……」
「もしそうなったら……頼んだぞ」
「何を俺に頼むんだよ」
しかしそう問いかけた時、赤だった信号が青に変わり、車を発進させたと同時に電話は切れてしまった。
俺の中で、まだ疑問形だったこの電話の相手が、はっきりと見えた気がする。
やはりこの非通知の電話をかけて来たのは間違いなく……
────螻蟻潰堤だ。
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