Act.14 Side H

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すぐさま工具を取り出した俺は、祈る気持ちでハードディスクのカバーを外して行く。 ケースが焼け焦げていても、中にあるディスクさえ生きていてくれればいくらでも再生することは可能だ。 ケースを留めている細かな部品を丁寧に外してようやくカバーの蓋を開ける。 すると中に納まっていた円盤には、くっきりと俺の顔が映り込んだ。 「どうだ? 生きてるっぽいか?」 「おそらく大丈夫だと思います。ケースを交換して繋げてみます」 「うん」 デスクの引き出しにあった、新品のケースに取り出したディスクを納め、パーツを繋げて行く。 時の過ぎるのを忘れてしまうほど、夢中で俺はそのハードディスクの蘇生を試みた。 そしてようやくパソコンが、修理したハードディスクを認識したその時だった。
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