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咄嗟に掴まろうとして伸ばした手を誉さんが握る。
「……すみません」
「いや、さすがに3週間もまともに歩いてなかったんだから仕方ない」
誉さんに言われて、初めてあの部屋で恭ちゃんと過ごした時間が3週間にも及んでいたことを知った。
「3週間も経ってたんですね」
そう言葉にしながら失笑する私を、誉さんは悲しそうに見つめる。
「二宮千波から電話があったんだ。君から全く連絡がないからおかしいって」
「……千波から?」
「彼女は俺が警察官だってことを知っていたから」
「……そうだったんですか……」
だから千波は、私が誉さんの話をした時に浮かない表情を見せたのかと今更気づく。
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