Act.15

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22年前の事件をきっかけに、私の中にはずっと警察への不信感と嫌悪感があることを誰よりも理解してくれていた千波だからこそ……。 誉さんが警察官だと知ったら、私が苦しむことになると思ったのだろう。 事実、今、私は複雑な思いに囚われている。 やがてゆっくりと歩いた私と誉さんは、楓さんが飛び立った崖へとたどり着く。 冬の色濃い谷を眺めながら誉さんは淡々と言葉を放った。 「篠崎楓は当時俺が住んでいたマンションの住人だった。 勉強を教えてくれって懐いて来て……いつしか本当の妹みたいに思うようになった」 「…………」 「だけど彼女が自殺する前の日の夜、俺に聞いてきたんだ。もし……自分が死んだら誉くんはどうなるのかと」
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