Act.15

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そう言って誉さんは、楓さんが命を絶った崖の下を悲しそうに見おろす。 その横顔を見つめながら、私はとてつもなく胸に痛みを覚えた。 「だけど俺は……くだらないことを聞くなと言って相手にしなかった」 「…………」 「きっとあの時、楓は俺に言って欲しかったんだと思う」 「…………」 「楓が死んだら、悲しいに決まってるとね」 母親にまで売られた楓さんにとって、きっと誉さんの隣は唯一の居場所だったに違いない。 だけど……誉さんの想いと楓さんの想いは違ったのだろう。 「……あの時、俺がもっと楓の気持ちを理解していたら、こんな悲しい結末にならずに済んだのかもしれないと、後悔し続けて来た22年間だった」 悲しそうに瞳を揺らす誉さんに、私は大きく首を振った。
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