Act.16

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恭ちゃんが真犯人の顔を見たことを知っているのは、現状私だけであることは、ここまでの誉さんとの会話から理解した。 22年前のあの日、警察に事情聴取をされた私は正直に救世主が現れて助けてくれたことを話した。 当然、警察も私の言う『救世主』を探した。 だけど……恭ちゃんは決して自分が救世主だったことを明かしていない。 その意図が何だったのか、私には何となく理解出来る。 きっと恭ちゃんは……自分の力で真犯人をあぶり出し、追い詰めたかったのだ。 だけど真犯人は、そんな恭ちゃんの動きを先読みした。 その結果が、今回の逮捕に繋がったに違いない。 果たしてこの事実を私は誉さんに話してもいいのだろうか。 誉さんを信じたい。だけど信じるのが怖い。 だって彼は……私の中では恐怖の記憶しかない……警察官だ。
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