Act.16

32/33
157人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「あの部屋で行われた行為のほとんどが盗撮なんだ。 だけど楓の動画だけは……盗撮ではなかった」 「…………」 「それは君が教えてくれた通り、楓だけは母親に売られたことで撮影に同意したのかもしれない」 「…………」 「だけど楓の死の真相が分かっても、まだこの一連の出来事の真実は見えていない」 「……はい」 「何が起きても、俺は必ず君を守る。……だけどこの全てが終わったら……」 そう言って誉さんは、悲しく揺れる瞳で深く見つめた。 分かっている。 この人は、22年前の真実を明らかにすることが出来れば、もうこの地に思い残すことなどきっとないのだ。 つまりこの真実の先にあるのは……私と誉さんの終わりでもあるということ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!