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少し息を切らしながら登った先、楓さんが飛び立った崖の上に立つスーツ姿の男性の背中が見えた。
そこにいたのは間違いなく、恭ちゃんの部屋に警察が乗りこんだ時に私へ声を掛けた警察官だった。
私たちの足音にゆっくりと振り返った城田さんは、穏やかな笑みを浮かべている。
「城田さん……どうして?」
そう問いかけたのは、千波だった。
すると城田さんはその笑みを崩さないまま千波に言った。
「ミキなら分かるだろ。組織なんてモンは結局弱肉強食の世界で、力のあるものは生き残り、力のないものは食われるんだよ。なぁ、誉?」
そう言って誉さんに問いかけた城田さんを見つめていた彼は、静かに瞼を伏せた。
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