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「……室長……」
もう一度問いかけてきた斉木さんの声で、俺は立ち上がった。
「斉木さん」
「はい」
「我妻を児童ポルノ法違反と、公文書偽造で再逮捕する準備に取り掛かってくれ。それと……」
「それと?」
もう俺に迷いなどなかった。
「我妻荘介と原沢佳奈、それから我妻荘介と恭太のDNA鑑定を行う」
「……えっ?」
驚いて俺を見つめた斉木さんに、やんわりと微笑んで答える。
「我妻の供述が正しいのかどうかを調べるのも、俺達の仕事だろ」
「……そうでした」
たとえその結果がどんな真実を明らかにしようと。
警察官として、けれどひとりの男として……。
全ての真実から目を背けたりしないと心に誓った。
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