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「原沢佳奈は……監禁などされていなかったと、俺に証言したよ」
「…………」
「たとえ血が繋がっていようといまいと……彼女はこれからも我妻を庇うだろう」
「…………」
「我妻や健斗が、彼女の幸せを願う気持ちは痛いくらい分かった。
だけどお前も健斗も間違ってるよ」
俺の言葉に、我妻はゆっくりと振り返り問いかけた。
「どう間違っている?」
格子の窓を見つめながら、俺は呟く。
この男のこれから先の人生が、せめて己の幸せを見つけられる未来であって欲しいと願いながら。
「幸せは人に与えられて手にするものではない。
自分で見つけて掴むものだって……俺の両親は教えてくれたけどな」
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