Act.20

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どんなに自分を責めても、もう時間は戻らない。 自分が犯した罪と向き合いながら、裁決の時を待つだけの時間。 犯罪者に与えられるこの時間は、自分自身と真正面から向き合うことと、後悔。 自責が極限へとたどり着いた時、自殺へと逃げたくなるのも分かる気がする。 あの部屋に閉じ込められ、恭ちゃんに初めて抱かれた日。 誉さんへの思いが強烈に私を支配していた私は、本音を言えば何度も舌を噛み切って死んでしまいたいと思った。 大吾さんの母親が感じた絶望と屈辱が、私の心を一瞬支配したのも事実だ。 けれど……それが出来なかったのは、やはり恭ちゃんの愛が全てだった。 もう巻き戻せない時間でも、リセットが出来ることを私は恭ちゃんに分かって欲しい。 そんなことを思いながら、ガラスの向こうを見つめていた。
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