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そう言って斉木さんはもう一度、私の肩に手を置くと寂しそうに呟いた。
「それはつまり……室長はそれほどにあなたを愛しているということだと私は思います」
もう何も言えないくらいこの胸が苦しくて、こみ上げる思いが抑え切れない。
恭ちゃんと私が実の兄妹でなかった真実を知っても、私の心を占めるのはやっぱり誉さんで、彼がここからいなくなると思うだけで悲しいのだ。
だけど……私はまだ誉さんに会うことは出来ない。
彼がこの街から消えようと思ってしまうほど……私が深く恭ちゃんに愛されていたのは紛れもない事実だからだ。
「……斉木さん……私……」
「……はい」
「恭ちゃんに会って……話したいです」
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