Act.20

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私の言葉に斉木さんは、全てを理解していたかのように頷いた。 「我妻恭太は接見禁止がついていないので、ご家族以外でも面会できます。今からすぐ行けますか?」 「はい」 「分かりました。ではお送りします」 斉木さんに促され、私は慌ててスケッチ道具を片付ける。 歩くのが早い斉木さんを小走りで追いかけながら、見つめた先には生まれたばかりの私が置き去りにされていたという光音堂。 ここに私を置き去りにした母はいったいどんな思いだったのだろう。 一願観音様がたったひとつだけ叶えてくれるという母の願いはきっと……。 私の幸せだったと信じたい。 そんなことを思いながら、参道を抜け駐車場へと向かう斉木さんを追いかけた。
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