Act.20

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斉木さんの言葉を聞きながら、私は22年前のあの日を思い出す。 今井部長に襲われた日、警察の事情聴取を受けた後に署内の長椅子に座ったまま、私をじっと見つめていた中学生のことを。 泣きはらしたかのように瞳を赤くしながらも、母に抱かれながら警察署の出口に向かう私を真っ直ぐに見つめていた彼。 きっとあの中学生が誉さんだったに違いない。 あの日の彼が、どんな思いで私を見つめていたのかは分からない。 けれど全てを知った今……。 私が進むべき道が何処なのか。 もうその答えは、この心がしっかりと見極めているからこそ。 私は覚悟を決め、斉木さんの車から警察署の駐車場へと降り立った。
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