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「こちらへどうぞ」
斉木さんに案内されて、裏口から署内へと入る。
階段を昇りたどり着いた階の正面には、インターホンと小さな窓がありその横には重厚そうなドアだけがあった。
一面壁続きのこのフロアは裁判が終わるまで、罪を犯した者たちが留置されているのだと斉木さんは説明した。
「面会が終わる頃に、またお迎えに参ります」
そう言って一礼をして階段へと戻って行く斉木さんを思わず呼び止める。
「あの、斉木さん」
「はい」
「誉さんは……」
今、この署内にいるのかを訪ねようとすると、斉木さんは小さく笑って言った。
「我妻との面会が終わる頃、ここへは室長を迎えに来させるつもりですので」
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