ここは彼女らのお気に入りのお店

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「かしこまりました。お伺いいたします」 私はすっ、とメニューを引っ込める。 こういったことは慣れていた。 この店に来る女性客の大半は、あれを注文することを目的にしているから。 「『虹色の原石』2つお願いしまーす」 「はい、『虹色の原石』2つですね。少々お待ちください。ただいまお冷やをお持ちします」 流れるようにさっと線を2本伝票に書き入れ、私は彼女たちににこりと微笑んでその場を去った。 楽しみだね、きらきらとした無邪気な声が、私の背中をくすぐった。
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