ここは彼女らのお気に入りのお店

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ここは彼女らのお気に入りのお店

カランカラン、と少し重い含みを持った鈴の音を響かせて、お店の扉がゆっくりと開かれた。 「いらっしゃいませ」 テーブルを拭く手を止めて、私は新たな客に向かって笑顔を作り、ぱっと顔を上げた。 「2名でーす」 虹のネイルアートが施された手をピースサインの形にし、にこにこと上機嫌な笑顔の女性2人組が閉められた扉の前に立っていた。 「2名様ですね。お席にご案内します」 入り口に置いておいたメニューを2冊手に取り、店の中央付近にある小さなテーブルに向かって歩き出す。 客がついてきているかをちらりと横目に確認すると、彼女たちは私の後ろを歩きながら、いい雰囲気のお店だねー、と笑い合っていた。 「こちらのお席をご利用ください」 空いているテーブルを手のひらで指し示し、彼女たちが座ったことを確認してからメニューをテーブルに置こうとした。 「あ、メニュー大丈夫です。もう決まってるんで」
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