小旅行と言う名の…

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「さっぶ!!!!ねぇ、何この寒さ。ちょっとちょっとぉぉぉ……。」 両手で腕をさすりながらあたりを見回す長身な男。 「……っだなっ……。まだ10月だよな?」 俺は、何処にでもいる至って普通の男子高校生…で、未だに両腕をさすっているこいつは……。 「倫太郎の下調べ不足だろ。ちゃんと天気予報までチェックしたのかよぉ。」 「煩いな!!だ、大体……あ、あれだ!突然『倫太郎!金は俺が全部出すから、北海道に行こう』とか言いだすお前が悪いんだろ!」 ジト目でこちらを見てくる男。 「誰の真似してんの?」 てめぇだよ!! *** 俺たちは今、新千歳空港のターンテーブル前で口論している。 事の発端は、今俺が言ったこの隣で寒そうにしている男の一言『北海道に行こう』から始まった。 なんで突然そんなことを言いだしたのか、謎でしかないんだけど、理由を聞いても『まぁまぁ。』と言うだけで、目的地のみしか知らされていない俺としては、全くもって納得がいかない。 二人で過ごしたいからとか、嘘でもいいから言ってくれれば……って、言われた所で全力で全力で拒否をしていたかもしれないけど。 「倫太郎?」 悶々と考え混んでいたら、いつの間にか、整った顔が目の前にあった。 その顔は、申し訳なさそうなけど何か企んでいるようなそんな感じで、思わず両手でその整った顔を押しのけていた。 この男、俺の学校の教師……いや正確には臨時教師……有栖川恭平(アリスガワキョウヘイ)。 顔が無駄によくて、高身長、一見して非の打ち所がないこの人は、実はとんでもない―――――「あぁ~もぉ~キスできると思ったのに。」
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