第2章 決意

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言い合いの日が続き 彼女も私も嫌気がさしていたのかもしれない。 彼女は産みたい。 でも壁を超えられるか…。 私は産んで欲しい。 でも逃げて欲しくない…。 その狭間で揺れ動いていた。 そんな時2人で話をした。 勿論,未来のこと。 産んだ後。 産むまでにしたいこと。 不安なこと。 向き合いたいこと。 赤ちゃんを守りたいこと。 たくさんのことを話した。 お互いに涙ながらに話した。 彼女は中途半端に 揺れ動いていたわけではなかった。 リスクを背負った上の出産になるかも知れない。 その恐怖に怯えていただけだった。 死と隣り合わせになる可能性もある。 でも 赤ちゃんは守りたい。 それが彼女の一点の曇りもない答えだった。 そんな話をしていて 彼女はこう言っていた。 彼女:嘘でもいい。 嘘でもいいから 後のことはパパに任せて。 元気に育てるから…。 そう言って欲しかった。 私は 近くにいて遠い存在だったのだと その時気がついた。 笑琉:ごめん。 何もわかっていなかったのは俺の方だった。 でも 嘘はつけない。 母子ともに元気で3人で散歩するんだ。 久しぶりに 本音と本音で向き合って 『赤ちゃんを守りたい。』 その一心で2人で答えを出した。
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