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春の風
入学から一ヶ月、学力の差、家庭環境と、いざ入ってみると、俺と同じような境遇の奴もいて、それなりにクラスには馴染んだが、やる気の無さは変わらなかった。
「直登、今日一緒に帰ろうぜ」
「おう」
基山公秋、一年の一学期なのに何故かヨレヨレの制服、髪は伸ばしっぱなしで、一言で言えば不潔、という二文字がよく似合う。クラスで若干弄られキャラなこいつを、何処か不思議な感じがする奴だと思い、一緒に帰る事もよくあった。
規定のバックを肩に掛け、立ち上がる。
生徒の半分以上は帰宅部であろうこの学校、俺も部活には、初めから入る気は無かった。
電車のドアが開き、同じ学校の制服が大量にホームへ流れる。公秋は帰りに寄りたい所があるらしく、暇な俺はそれに付き合った。
「んで、何処に行くんだよ?」
「直ぐに分かるって」
公秋は駅に隣接する大きなショッピングモールにへ入って行く。エスカレーターを次々に登ると、大きな看板が見えてきた、【雷音楽器】
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