春の風

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 店員さんの提案に、慌てる。 「バンドなんて、そんなそんな、な、直登」 「やります、俺達バンドやります!」 「えー!!」  真っ直ぐ店員さんを見ている俺を見て、公秋が仰け反り上げた声は、周りの人達が振り返るほどだった。 「いいねー、じゃあ待ってるよ、コレで」  ギターを元の位置へ戻した店員さんは、壁に貼ってあるポスターを指差した。 〈来たれ、高校生バンドコンテスト〉  高校生バンドの写真が沢山載ったポスターが貼ってある、開催は......八月、夏休みの最後の土曜日だ。 「コ、コ、コンテストー?」 「いいですね! 是非参加します、なっ公秋」 「えっ?」  俺のやる気に驚きを隠せない公秋は、終始おどおどしていたが、真剣な顔になり、俺の肩を叩いた。 「おい、お前、金あるのかよ?」  バンドをするには、というよりギターをするには、まずギターを購入しなくては始まらない、衝撃の繰り返しで、値段の事をすっかり忘れていた。 「ああ、そっか、このギターっていくらすんの?」  俺はギターに近づき値札を見る......
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