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夏の低音
「マジで、買ったな!」
一週間後、俺の背中にはギターのソフトケースが背負われていた。
「私はギターを持っています」と主張するそのケースは、すれ違う人全員が見てくると思えて少し恥ずかしかった。
「ああ、でもバイトしねぇと」
「いいじゃん、なんかロッカーって感じでカッケーよ」
バイトして返すという条件で説得した親から借りた金で、このギターを買った俺、この沸き上がる感情、熱い思い、ここまで思えたのは初めてかもしれない。自然とバイトをすることも苦ではなかった。
「で、お前も買うのか? ギター」
「ハハッ、直登がギターなら俺は違うのにするよ」
「じゃあ何にするんだよ」
「そうだなー」
腕を組みしたを向きしばらく考えた後、公秋は何かを決心したように口を開いた。
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