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学生食堂はもう満員だった。席は埋まり、注文カウンターには長蛇の列。一年生の僕が割りこむ隙なんてなかった。
昼休みは戦争である。チャイムを合図にし、全校生徒の半数以上が教室を飛びだし、廊下に地鳴りのような足音を響かせ、学生食堂を目指して走る。
「あ……あぶない……!」
「――ッツ!」
よって見知らぬ女の子に激突され、馬乗りされることはよくある事故だと思いたい。僕の手がふっくらとしたものをつかんでいるのも。
「え? いきなり!? えと、あ……あのー、前……会ったことない?」
覗きこむ愛らしい顔に思わず息を飲む。制服のリボンから察するに三年生らしい。
「ないです!」
急いで手をどける僕。
「じゃあ……だれ!? わたし、赤の他人におっぱいさわらせる趣味はないよ」
「は」
その一瞬、言葉を失った……。なに言ってんの! この人。
「罰が必要かな」
彼女の唇の端が少し上がる。
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