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『上書き前の世界に、リセットする方法をね』
紫藤の言葉を思い返す。
上書き前の世界に戻す。
そのことに、何か意味があるのか?
因果律の崩壊。世界の終り。
小さな綻びが、やがて大きな破損へと繋がる。
しかし、それは仮説のひとつであり、確実性があるわけではない。
芽衣のしていることは、それらの可能性を考慮してのこと。
それを否定したところで、紫藤にはなんのメリットも存在しないはず。
いくら考えても、芽衣には理解できない。
むろん、理解したところで、自らの行いを改めるつもりはないのだが。
心地よい睡魔が襲ってくる。
干したての、ふかふかの布団に包まれ、芽衣の思考回路は闇の中へと溶けていった。
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