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「自分勝手だった自分を忘れたくて……利用してた部分も絶対あると思うし」
「………」
「だから俺たちは、きっと……」
意図的に首をかたむけて彼女の頭に軽くぶつけてみた。
えい、と声がして反撃された。ちっとも痛くないけど。
繋いだ手からはとうに力は抜けている。
解こうと思えば簡単にできるけど、俺も彼女もそうしようとはしなかった。
続きを問われるかと思ったけど、彼女は何も訊ねてこなかった。
もう一度目を閉じる。
しとしとと、穏やかな雨の音だけが室内に充ちていった。
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