【美青年マスターと】

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「じゃあ、いただきます」 「召し上がれ」 ほんのり桜色をした桃が透明なジェルでコーティングされていて、とても綺麗だ。フォークを刺せば、サクッと軽やかな音がした。 パクリ、ひとくち食べると程よい甘みが広がる。柔らかい桃とサクサクのタルト生地の相性が抜群だ。 「……っ美味しいです!いくらでも食べれちゃいます」 「やっと笑ってくれた」 「え、そう、でしたか?」 「そうだよ。やっぱり甘い物は人を幸せにするよねぇ」 マスターは隣の椅子に座ってうんうんと頷く。何だか恥ずかしくて、可愛らしいグラスに注がれたレモネードにも口をつけた。 「これもさっぱりしてて美味しい。普通に売ってるレモネードと全然違う」 「僕の特製ですからね」 ちょっぴり誇らしげにウィンクするマスター。格好良いと何をやっても様になるんだな。レモネードとタルトを交互に口に運んで食べ進めていく。 暑い中歩いたせいで思ってた以上にお腹が空いていたのか、あっという間に完食してしまった。 「マスター、ごちそう様でした!両方美味しかったです」 「こちらこそ、綺麗に完食してくれてありがとうございました」 お会計を済ませて扉に手をかける。
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