第3話 お誕生日を祝おう

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しかし夫は顔を上げ、私の顔を見て言ってくれた。 「でも、今日のパーティーで全てが吹っ切れたよ。俺は1人じゃない……そう実感できたよ。だから、今日は本当にありがとう」 夫は再度、パーティーを開いた私にお礼を述べた。 私は泣きそうになったが、夫の話は続いていた。 「でも、まだまだ俺は立派な父親じゃないな……」 「どういう事?」 「スピーチでも言ったが、俺は娘の事をあんましり考えていなかった。望歌が俺を祝いたいだなんて考えもしなかった。それが悔やまれてならない」 その事で夫は酷く落ち込むように、顔を俯いた。 そんな夫に私は彼の手を握った。 「そんな事ないわよ。あなたは立派に父親を果たしてるわ」 「香澄……」 「だって、嘘とも知らずに風邪をひいたと言ったら、急いで来てくれたじゃない。立派に父親を果たしている証拠よ。だから、もっと自身を持って」 私の励ましに元気が出たのか、夫の顔から微笑みが戻ってきた。 「香澄……ありがとう」 夫は私の唇に近づくと、私はそれを受け入れた。 「あっ、そうそう、あなたにもう一つ、プレゼントがあるの」 「なんだい?」 私はスマホを取り出し、望歌のケーキ作りの動画を夫に見せてあげた。 「可愛いいなぁ」 「ええ、可愛い」 私達はお互いを寄り添いながら、娘の動画を眺めていた。
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