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ピューマとの電話が終わったすぐ後に、安原さんが遅くやって来た。
彼は席に座ると、まず私に謝った。
どうやら、安原さんは事前に知ってたらしく、わざと遅れてやって来たのだ。
私と2人っきりで話がしたいと、ミズ・ピューマたっての願いを実現させたかったらしい。
遅れた理由に納得した私は小切手の入った封筒を渡すと、電話の件について話した。
安原さんはミズ・ピューマの素性については何も言わなかった。
だけど今後、私とピューマが仲良くなるのは良い事だと言い、次の接触を待つ事にした。
ミズ・ピューマとの繋がりを強くすれば、裏社会の間で噂になる。
そうなれば経済制裁は解決し、事業の信用と畏怖を一気に回復する事ができる。
そう安原さんは考えたのだ。
確かに最強の殺し屋の信用を得れば、事業は再び、活気づくだろう。
ただ、私はあんまり乗り気ではなかった。
事業が回復するのは勿論のこと、ミズ・ピューマと仲良くするのは私の望むところではないからだ。
ただ灰谷に復讐したい……
私の願いはそれだけなのに、それが少しづつ、遠ざかって行っている気がしてならなかった。
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