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しかし相手はあの課長だ。
本気で私の話を聞いてくれるかどうか……
それでも私は言いたいことは言おうと、私の手元に置かれたスクリュー・ドライバーを一気に飲み干し、緊張感を吹き飛ばした。
「ゲホッ!……ゲホッ!」
一気に飲み干したから苦しくて、咳き込んでしまった。
しかし、隣にいた課長は動じなかった。
ただ、一言「バカだな……」呟き、バナナ・ダイキリの味を楽しんでた。
「そんな課長もバカですよ」
私が小さな声で言うと、課長の耳が素早く反応した。
「ほぉ……俺に向かってものを言うか……偉くなったものだな」
嫌味を言いながら、鼻で笑う課長に腹が立ったが、私は怒りを抑えて、冷静に本音をぶちまけた。
「確かに私はあなたの上司ですよ。表面上はね。でも目的は同じ灰谷の復讐ですよね。それなのに秘策を仲間の私に今だに打ち明けないのはいかがなものかと思いますよ」
言った……遂に言った。
心の内に溜まっていたので思いのほか、スッキリしたが問題はこの後だ。
果たして、課長の口が開くのかどうか……
課長は黙ってしまったが、表情からして、怒ってはおらず、ただ手に持ってたカクテルをグイッと飲み干した。
そして、私の耳元で囁くように言った。
「……………えっ?」
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