第9話 妻の戦い

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あの夜の会話以降、夫の口数が大幅に減った。 基本的な挨拶や世間話などはするが、必要最低限のことしか言わなくなった。 まるで、私の不倫がバレた時に戻ったみたいだった。 それでも、あの頃と違う所といえば、私や娘には何食わぬ笑顔を見せてくれていた所だ。 焦りや動揺など一切見せずに、平然とした態度で毎日を過ごしていた。 だけど、その笑顔を見る度に私は疑問に思う。 命が狙われてるのに、どうしてそこまで笑顔が見せられるのかと…… 用心棒が見張っているとはいえ、100%安心できないのは分かっている筈なのにだ。 私はそんな強がりの笑顔を見せる夫に不満を持った。 今まで黙っていたのにも、私は許せなかった。 いかに自分のみしか狙われてるにしても、ちゃんと言って欲しかった。 堅気の私に足を突っ込ませたくないにせよ、何かしらの力になりたかった。 お互いに助け合ってこその夫婦というものなのに…… なんて、色々と夫に対する不満と怒りを心の中でぶちまけたが、それを口に出す権利は私にはなかった。 何故なら、私も夫と同じく大きな危機を抱えていた。
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