第14話 情炎

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私はふと目が覚め、ベッドから起き上がろうとした。 だが、後ろから悠治さんに抱きしめられていて身動きが取れずにいた。 夫も早朝の激しいセックスに疲れたのかぐっすりと眠っていた。 あのまま私と一緒に眠ってしまったのか、私も悠治さんも汗臭かった。 すぐに夫の腕を離そうとしたが、悠治さんの両腕は決して私を離そうとはせず、私の身体をガッチリと掴んでいた。 それは私を守るという意思表示の何物でもなかった。 これだけで夫への愛情が伝わり、私はこの愛情を大切にしようとしばらくの間、愛する人の腕を掴んだ。 もっと長く夫の愛情に浸っていたかったが、現実はそうはいかない。 お昼頃にはチェックアウトを済ませて、愛しい我が子のいる実家に帰らなければならない。 とりあえず今、何時か気になったので机の上に置いたスマホにかろうじて手を伸ばした。 何とかスマホを手に入れ、時計を見てみると時刻は午前10時を回っていた。 気絶した後、私は3時間ぐらい眠っていた事になる。 私は無理矢理、夫の腕から離れると、そのまま身体を揺らした。 「悠治さん。起きて」 身体を何度も揺らし続けた結果、目を擦りながら起き始めた。 「おはよう」 大きな欠伸をしながら今日で2度目の挨拶をした。 夫にしては珍しく寝ぼけていた。 3時間前の出来事を忘れているかのような、ぼんやりとした寝起き顔だった。 そう、まるで私達が激しく愛し合ったのが全て夢であるかのように………
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