第14話 情炎

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「お母さん、深美さんはどうだった?」 「望歌ちゃんといっぱい遊んでたわよ」 「昨夜は何もなかった?」 「いいえ。何もなかったわ」 「そう……今日のお昼頃には帰るからね」 「分かったわ。気をつけてね」 「はーい」 そう言うと、私は電話を切った。 するとそこに着替えを済ませた悠治さんがリビングに入ってきた。 「望歌?変わって」 夫は何も知らずに私のスマホに向けて手を伸ばした。 「ごめん。もう切っちゃた」 私はすぐに謝ると、夫は何も言わずに手を戻した。 「本当にごめんね」 「いやいいよ。それより望歌はどうだった?」 夫は気にするなといわんばかりの微笑みを浮かべると、すかさず娘の事を尋ねた。 「大丈夫。今日も元気いっぱいよ。でもすっかり、深美さんっ子になっちゃった」 私は娘が元気な事を伝えると、深美さんに懐いてる事を話した。 すると悠治さんは私に懸念を察するように、両手に肩をかけた。 「深美さんはちゃんと約束を守ってくれた。それだけ満足しなくちゃ」 「あなた………」 「早く朝ごはんを食べて、娘をハグしよう。大丈夫、娘の一番はママだよ」 悠治さんの励ましで少しは楽になった。 でも何か物足りない気がして、今度は私が付け加えるように言った。 「それとパパもね」 私は夫の頬にキスをした。
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