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いつぞやの妄想が本物に! なってるのは夢か!? と一人固まっていたら。
からんからん、とベルが鳴って、入り口が開くと同時に「ありがとうございました」の声がした。見送られたのは、カップルらしい男女の組み合わせ。思わずそちらに目をやって、振り返った時に、扉の所でちょうど顔を上げた女の人と目が合った。
「あ、」
「あ?」
「あの、よろしければ中の方も見て行かれません?」
「えっ」
店員さんだ、なんて今更過ぎる。愛想のいい接客は百点満点かもしれないが、ぎこちなく首を振るしかなかった。だって買えないし。それに、ショップに入れるような服装でもない。半分部屋着なのだから。
「いえ、その」
「折角ですから、どうぞ!」
明らかにお客になりそうにないはずの栞里に、扉を大きく開けてくれる。中には男の人が一人、女の人が三人いた。みんな明らかに栞里よりも「大人」な雰囲気だ。
怖気づくな、というのは無理な話で。
「す、すみません結構です。用事、あるので!」
首を振りながら後ずさり、急いで踵を返して走ってしまった。
家に飛び込んで、肩で息をしながら呼吸を整える――びっくりした。とても。
当たり前だけれど、あそこはお店で、お店には店員さんがいて。お客さんだっているのだ。
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