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帰ったら、やっぱり涙はこぼれてしまった。悲しかったし、辛かった。何がと聞かれても困るくらい、とても。いろんなことがありすぎて、つもり重なっていた。
次の日も。その次の日も。
大事な時なのに、ちっとも勉強が進まない。余計に悲しくなって泣きたくなる。どうして自分は強くないのだろう、と責める時もあれば、もう嫌だと投げ出したくもなった。
ノイローゼ、なんて。能天気だと言われる自分から、一番縁遠いはずだったのに。
部屋へ入るたびに、勝手にこぼれる雫に、どうしようもない遣る瀬無さが広がる。
前を、向かないと。
勉強を、しないと。
考えるたびに、手が止まる。頭が、固まった。
母親が、父親が。那美が、友達が。なんとなく遠慮がちに、それでも心配していることもちゃんと分っているから。
――これじゃ、桜が咲かないよ。
頑張れ、と自分に言っても、あまり効果はなかった。
疲れていないはずなのに、沈み切っていたせいか、ついにその日は那美に保健室に連行され、さらに早退が言い渡された。
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