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わあ、と嬉しくなった。高嶺の花が、ほんの少し自分の方へ揺れてくれたような気分。今だったら、普段着の栞里が隣にいても、そんなにおかしくないくらいで、ふっと親近感がわいた。
なんでいつもと違うのか、と考えて、誰からアドバイスをもらったのかも、と想像した。
「女の子の、女の子による、女の子のための、デートオシャレコーデ」
へらっと笑いながら、今日のテストに出てきた名言を借りてみた。似合う? いけるいける、とか言いながら、着せ合いっこした服で出かける仲良し――もちろんお姉さん張りに美人な友達で。
そーゆ―楽しいことは、今のところ栞里にはない。今日だって世界史の小テストは散々だった。大体、現代史は戦争とか政治の話ばっかりで、全然面白くないのがいけない。これが服とか花とか色の話なら、喜んで勉強するのに……だから文化史は好きだった。仏像とか、家とか服とか土器の方が、戦争よりもよっぽどいい――
「て、やば」
スマホを見れば、十分は経っていた。またあんたは! と那美に怒られそうだ。今日は一緒に勉強する約束があるのに。
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