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 遙香に作ってもらっていた口座を確認すると、五万円が入っていた。悠輝は早速遙香に電話をした。 〈もしもし、悠輝?〉 「久しぶり。姉貴、合格祝いありがとう。でも、大丈夫?」 〈何が?〉 「だって五万円も……」 〈弟の分際で、お姉ちゃんに気ィ使わないのッ〉 「だって、姉貴はニート……」 〈専業種はニートじゃないのッ〉 「でも、収入源は義兄さんだけだろ?」 〈あんたねぇ、家事育児がどれだけ重労働か知ってる?〉  家事は毎日やっているので解るが、育児は大変だろうとは思うが実感出来ない。 〈だから、余計な心配せずにマウンテンバイクを買いなさい〉 「えッ?」 〈小学生の頃、欲しがってたじゃない。あんたの事だから、今でも欲しいんでしょ?  あの親父が買ってくれるわけ無いから、優しいお姉様が代わりにお金を出してあげるのよ〉  MTBが欲しいと遙香に言ったのは、七年前の小学三年生の時だ。よく覚えていると思う、それに普通はまだ欲しがっているとは思わないはずだ。実際、(のど)から手が出るほど欲しいのだが。 〈とにかく、変に気を使わないで自分の欲しいものを買いなさい。桑高に合格するなんて、かなり(がん)()んなきゃムリだもの〉     
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