台風の夜

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  カチっとドライヤーのスイッチを切り後ろに振り向くとそこには大きな窓ガラスが閉まっている。 いつもはカーテンもしめているのだが、今宵は台風で雨戸を閉めているのでカーテンは開けっ放しにしていた ババン!バババァン!! と、激しく雨戸を叩く音が飽きることなく続いている 「うー、ヤダヤダ…」 鏡子は鏡に振り戻ると再び髪を乾かし始める 鏡子は台風が嫌いだ 台風に煽られて激しく音を奏でる雨風の音が子供の頃から不気味に感じよく母親の足に縋り付いていたものだ 流石に今はもういい歳だし、そもそも今はアパートに一人暮らしなので縋りたくても縋れないが、怖いものは今も怖い 「台風ってなんでこうなんだろ…うるさいし変な音が聞こえる気がするし…怖いし…なんでこんな日にあんな事言うのかなあいつらは…」 金曜の深夜、今から数時間前… 鏡子は職場の仲間と一緒に居酒屋でワイワイと飲み遊んでいた。 鏡子は元来くそ真面目な所があり、それが災いしてかよくからかわれていた
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