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それはムリです・・・お兄様・・・ あんまりです・・・むごすぎます・・・ 今まで悪事の限りをしてきましたが・・・これだけは勘弁してください・・・・ 「もう、帰って来たからいいだろ・・・お兄様はいつ帰ってくるの・・・?」 「後、二、三日で帰ってくるって。それまでたまっていた勉強しようね。 ちょうどよかったよ、お料理教室も一緒に行けるしね。」 あずみにとって、雅と過ごす二、三日は結構長い。自分ではありえないと思っていた恋心が芽生えているような・・・錯覚のような・・・もし万が一、恋だとしたなら、如月の手前、緑山の手前、どうしたらいい。いや、それはもうどうにもならない。 色々考えている間に少し熱くなって、湯船の淵に腰かけた。雅がどこかへ消えてくれない限りここからは出られない。籠城する場所を誤った。トイレと風呂はドアが一個だからそこに立たれると逃げ場を失う。 しかも雅は超がつく鈍感だ。 「頼むよ、夜だけでも帰って。」 「だめだよ。かわいいワンピース来てお出かけしちゃうだろ。」 「じゃあ、ワンピースみんな持って帰ればいいだろ。」 「どうしてそんなに嫌がるの・・・」 雅は、少し目を潤ませて風呂の扉を20センチほど開けた。 あずみは慌てて湯船に隠れた。 「く・・・・」 泣きたいのは、コッチだ・・・・こいつまったく解ってない・・・ こいつは自分がした事を薄っすらとも覚えてないのか・・・ あずみは次言葉を考えたが、どれだけ考えても、あまりの事に脳がフリーズしてなにも浮かんでこない。 「う、うるさい!ドアを開けるな。早く締めろ!」 「あずみ君どうして俺にはそんな言い方するの。僕にだけそんな言い方・・・」 「だから・・・おまえの事が嫌いだって言ってるだろ。ドアを閉めろ!」 大きな声をあげて、少しクラっとした。あずみはあまり風呂が得意ではない あぶないのぼせる、イヤもうほとんどのぼせていた。けれど、懸命に悠々たる状況を保とうとわずかに残った気力を奮い立たせていた。 「やっぱり俺も入るよ。お風呂の中で話そう。ごはんの時、ビール飲みたいし。」 「バカ…か…いいか…げんに…し……」 あずみは湯船にあえなく沈んだ。
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