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「あずみ、おかえり。遅かったね。」
「ええ、もう大変なことに巻き込まれて・・・」
「山波のアパートに行っていたんじゃないのか。」
「そうですよ。」
「それで山波は。」
「帰りました。僕を車から突き落とすように下ろして、去って行きました。
早く二人きりになりたいらしいです。」
「そうか。」
「それと・・・これは、則夫君から預かって来ました。
お土産です。」
「なんだ、生ゴミかい?」
「則夫君が頑張って作った今日の晩御飯です。
山波さんは美味しい美味しいと言って嬉しそうに食べていましたよ。」
「そうか・・・・」
「則夫君はこれから毎週火曜、お料理教室に通って山波さんのために頑張ってごはんを上手に作るんだそうです。
僕はその巻き添えです。毎週火曜は出かけます。」
「そうか!」
「二人はとても幸せそうでした。ムカつくくらい。」
「そうか。」
「で、避けるものなら割いてみろと挑戦されてしまいました。
だから挑発に乗ろうと思います。」
「やめておいたほうがよくないか?」
「あらどうして。」
「君のイタズラは度がすぎる。そのうちみんなから嫌われて一人ぼっちになってしまうよ。」
「今でも一人ぼっちです。」
「そうでもないですよ。」
「とにかく、これを食べてみてください。」
「いや、私はいい。」
「次に則夫君に会った時、どうだったと必ず聞かれますよ。その時返事に困らないように、食べてください。」
「困ったな。」
如月は一口食べてすぐに箸を置いた。
「これから毎週通うんだろう。」
「ええ火曜に。」
「ちゃんとついて行って経過を報告しなさい。山波が心配だ。」
「わかりました。僕、頑張ります。」
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