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「あずみ君エプロンの付け方そろそろ覚えようか・・・」 「ワザとです。冗談です。付け方知ってますから。」 「そう・・・」 お料理教室では相変わらず手のかかる生徒だったが、二人は今日も大真面目だった ちゃんとメモもしたし、やり方も完璧に覚えた・・・つもりだった。 「だいぶ包丁に慣れてきましたね。」 「はい。2度目のわりに素晴らしく上達したと思っています。」 キャベツの千切りやみじん切りはまだまだできるというレベルには程遠いが、じゃがいもの皮も僅かだが、以前よりも薄くむけるようになってきたような気がしていた。 「おうちでもやっていますか?」 「いません。僕、自分の包丁を持っていないんです。」 「じゃあ今度プレゼントしよう。」 「いりません。僕には鈴木さんがいますから。」 「鈴木さん?」 「はい。お手伝いの鈴木さんです。 だから、僕は包丁はいらないです。鈴木さんが僕の分まで頑張ってくれるので。 では、僕は帰ります。ありがとうございました。」 「じゃあ、また来週ね。」 「はい。」 緑山は一足早く教室を出て車の中であずみを待っていた。 「あずみ先生と何話していたの。」 「包丁あげるって。」 「よかったじゃん。」 「お断りしました。」 「なんで?」 「僕には鈴木さんがいますから、包丁はいらないです。 お料理は鈴木さんがやってくれるし。 僕が作るより絶対美味しいし。 則夫君も今日の晩御飯は、鈴木さんに作ってもらえば?」 「ううん。火曜の晩御飯は僕が作るって約束だから。」 「山波さんお腹壊しませんか?」 「どういう意味だよ。」 「意味は特にはありませんが・・・」 「ねえ、依田先生の事どう。」
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