10.

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通常なら雅は六時半に起き朝のランニングやらストレッチやらをする予定なのだが、今日は、いつもの時間よりかなり寝坊した。 そして起きると、その自分の行為にとても驚いた。 「うぁ・・・・」 あずみを胸に抱き、あずみもまた胸に顔を埋めて眠っているその姿に声にならない驚愕の声を上げた。 自分は上半身何も身につけてはいないが、下はスエットパンツを履いていた。 あずみはいつものダルダルのスエットの上下を着ていた。 「よかった・・・やってない・・・・」 雅は思った以上に酔っていて昨夜の出来事は全く覚えていなかったが、初めてこの部屋に泊まった時も目覚めた時、あずみを後ろから抱いていたから、結局その延長なのだろうと考えていたが、とりあえず、あずみが起きたらまず、謝ろうと思った。 「あずみ君・・・そろそろ起きたほうがよくないか。昼になるよ。」 「うん・・・・僕、今日は寝てます。 頭が痛くて・・・・夕べお薬飲み忘れました。」 「大丈夫、あずみ君。お薬持ってこようか。」 「すいません。うるさいです。静かにしていたらそのうち治りますからほおっておいてもらえますか。」 あずみは寝返りを打ち布団をかぶってもう一度眠った。 雅も部屋からいなくなり、 (あーあ、もうひと眠りしたらきっとよくなる。明日は遊園地だ。 よくなったら鈴木さんに、サンドイッチの準備とおやつを買いにつれて行ってもらおう・・・) と考えていた。 「あずみ君、おかゆできたよ。薬ももらってきた。」 雅の声がした。帰ったと思ったのにまったくこいつは・・・イライラさせやがって・・・ と思うとまた頭がずきずきと激音をこめかみで聞くように痛み出した。 「結構です・・・少し寝かせてください。」 「寝る前にちょっとだけお腹に入れたほうがいいよ。薬も飲んで、そうするとよくなるから。」 「もう少し後にします。」 雅はあずみの背中をさすりだした。 当然、良かれと思って・・・そうすればだいたいの場合、落ち着いてぐっすり眠った ・・・今までの人は・・・・ けど、あずみは本当にそっとしておいてほしかった。 頭が痛い時は何をやっても腹が立つ。本当に独り、そっとしておいてほしかった。
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