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「う・・・そうですねー お友達までとしか考えておりませんでしたので・・・ この件は、一度持ち帰って、検討して・・・ 改めてお返事でもいいでしょうか。」 ソファから突然床へ降りて正座し、クニの目を正面から見て真剣に話すあずみを見てお腹を抱えて笑い出した。 「あずみ君はほんと! 面白いね。いいよ返事は今度でいい。 冷めてしまうから、先にごはんを食べよう。」 「はい!」 あずみは素直に、いつも通り思い切りごはんを食べ始めた。テーブルマナーも何もあったものではない、まったく餌を与えてない獣のような食べ方だったが、クニはニッコリと微笑みながらその姿を見ていた。 「あずみ君。すぐに返事をくれとは言わないけれど、僕もあまり気の長いほうではないんだよね。 かわいいあずみ君がいつまでも焦らすと、僕があずみ君をそんな風に食いちぎっちゃうカモよ・・・」 「僕、あと2週間で誕生日なんです。 それを過ぎてからはどうですか? 十七歳を過ぎてからのほうが、なにかとよいのではないですか・・・ その時お返事します。」 「わかった。君はなかなか賢いね。」 「ありがとうございます。 そう言っていただけるととても嬉しいです。」 「さあ、いっぱいお食べ。」 「はい。クニさんは食べないのですか?」 「僕は君が食べている姿を見ているだけでお腹いっぱいだ・・・」 「美味しいですよ。」 「僕にはどんな料理より、君のほうが美味しそうに見えるけどな・・・・」 少しはだけたバスローブからのぞく太ももを指先で撫でながら言うと、あずみはバスローブの前をキチンと合わせ直して少しクニから離れて座りなおした。 「クニさん酔ってますか。」 「イヤ、これくらいのワインでは酔わないよ。」
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