11.

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(今日一日を無駄に過ごしてしまった・・・気持ち悪い・・・食いすぎた・・・・) まだ消化しきってないような嫌な感じに、タクシーはだいぶ手前で降りてお腹をさすりながら坂を登った。相変わらずの急な坂道はむかつくほど長かったが、食べ過ぎた体を元に戻す運動にはちょうどいいと思った。 家に着くと見覚えのある白い車・・・「雅・・・」 あずみは少し小走りで屋敷に飛び込んだ。 「雅・・・・」 「あずみ君。どこ行っていたの。今何時だと思ってる。 あずみが家にいないみたいだからって教授から電話があったんだ。とても心配していたよ。 教授がいないときに外泊するなんて、君はまだ未成年なんだ。 一体、誰と、どこへ行っていたんだ。」 お帰りも言う前にいきなり攻め立てられ、うんざりした。 「もういい。」 如月のように、何も言わないのもムカつくが、こうやって捲し立てられるのも本意ではなかった。いや、本意であるかそうでないかの前に、雅の車を見て一瞬心を躍らせた自分自身に驚いていた。部屋に閉じこもりソファーで扉を抑えた。雅はドアを叩き、名前を呼んでいるが、その声さえもう聴きたくないほど狼狽していた。 「くそ雅!帰れ!!ばーか。もうお前なんか二度と会いたくない。 そもそも僕はお前が嫌いなんだ。何回言わせるんだ。早く帰れ!!」 憎まれ口をたたけば叩くほど、涙がこぼれた。胸が苦しくて、悲しくてそれでも何度も言った。雅が一言話すごとに・・・・ 「早く帰れ、来るな!」 「あずみ君・・・ここを開けて・・・」 「うるさい、僕のそばに寄るな!」 そしていっぱい涙はこぼれた。どうして涙が落ちてくるのかわかっているけど、わからないふりをした。 耳をふさいでも何度も自分の名前を呼ぶ声が苦しくてたまらなかった。 あずみはもう自分はどうなってもいい、もう壊れてしまいたい。壊れてしまったほうがいいんだと思った。 如月が好きだと言った黒いワンピース・・・依田に悪戯されたときのあの黒いワンピースを着て、お化粧をして、靴をバッグに入れて窓から外へ出た。屋根伝いに歩いて木に飛び移り、庭に飛び降りると裸足で走った。
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