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「これは山波さんのお布団ですか?僕がここで寝てもいいのですか?」 「山波と僕はいつも同じお布団で寝ているから、そっちは誰も使っていないものだから安心して。」 「あ・・・そうですか・・・」 「うん。」 「聞かないのですか?」 「何を?」 「僕があそこにいたわけを。」 「だいたいは想像できるから聞かない。言いたいなら聞くけど。」 「今はまだ言いたくないです。」 「じゃあ、聞かない。」 緑山は布団の上でパックをしながらうつぶせになってお料理の本を読んでいた。 あずみもパックをしてそこらへんにあった本を開いてみた。 「規夫君はいつごろから山波さんを好きでしたか?」 「前もそれ聞いたね。そんなに気になる?」 「はい。とても。好きになるときってどんな感じか・・・知りたいです。」 「好きになるときね・・・ まず、その人のことをよく見かけるようになる。いつも視界に入ってきてハッとする。 見かけると嬉しくてふわっとした気分になる。 でも視界に入ってくるんじゃない。自分がその人のことを探しているんだって気づく。 そのことに気が付くとその人に当たり散らしたり、無視したりする。 でも、我慢できなくなって・・・・僕は告白した。」 「・・・怖くなかったですか?男の子の規夫君が男の山波さんに告白するって・・・」 「山波じゃないとだめだって気づいた。 山波が僕のことを嫌いっていうなら、気持ち悪いって言うならもう、生きていることもすべてお終いにしようと思えるほど好きになっていた。 だって、ぴったりだったんだ。山波の腕の長さ、胸の広さが僕にピッタリで、山波に抱かれて眠るとまるで箱が閉じるようにすっぽりと修まって・・・ 特別な柔らかさで、特別な匂いがした。何かとてもおいしそうな、僕の大好きな物の匂い・・・」
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