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あずみは走って家に帰り、一番お気に入りのワンピースを着て綺麗に化粧をし、ストッキングを履いてハイヒールで屋敷をこっそりと抜け出た。 いつも下って行く坂とは反対側の道を下ってタクシーを拾い街へと向かった。 「君、かわいいね。いくつ?」 「十六。」 「え?ダメだよ。こんなお店に来たら。」 「そうですか。食事をしに来ただけなのですが。」 「それでも、よくないよ。ここどんなお店か知っているの?」 「知りません。紹介していただきました。 むしゃくしゃした時に行くならこのお店がいいって。」 「えー誰に教えてもらったの?いけない人だな。」 あずみに声をかけてきたのは、如月と同じくらいの年齢の男だった。 品よくスーツを着こなした白髪交じりの髪。まだ少し時間も早いのに、ウイスキーのグラスを手にしていた。 「お腹すいているなら、違うお店に行かないかい。美味しいお寿司でも食べに行こうか、」 「お寿司か・・・でも、このパスタもなかなかいけますよ。」 その男はあずみの口の周りにべったりとついたミートソースを自分のハンカチで拭いて 「それ食べたらお腹いっぱいでお寿司が食べられなくなっちゃうよ。」     
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