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頑張ります
そして、この季節の行事というのは・・・。
“体育祭”だ。
男子校なだけあって、体を張る競技が多い事で有名だ。
ここら一体だけだが。
それでも、全校生徒の在籍数は多い学校。
更にOBもよく来るから、人で溢れかえる。
そんな中の“体育祭”。
生徒会が・・・。
いや、生徒会長が、忙しくないはずがなかった。
「会長ぉ!!
これ・・・。」
「それ、こっち!!」
「会長ぉ!!」
「それは、あっちに持っていって!!」
と、まぁ、こんなくらいに、生徒会長である世那は、色んなところに引っ張りだこ。
発情期と言っても、番いになったので、番い相手以外には分かるはずもなく。
そして、信頼も厚い世那は、先生方にも、
「多川!!
これ、持って行け!!」
「はいっ!!」
「世那っ!
この件なのだが・・・。」
「これはですね、・・・。」
と、走り回っている。
そんな彼の番い相手である慧斗は、発情期中であるのにもかかわらず、走り回っている世那を気遣いつつ、構ってくれない苛立ちもあった。
そして、今、拗ねているのである。
だから、純に八つ当たりしている。
例えば、脛を少し、いや強い力で叩いたり・・・。
『暇だ』という紙を、純に貼り付けまくったり・・・。
それに飽きたら、持ち込んでいるパソコンで仕事をするとでもいうくらいに。
しかも、授業に出ず、校内の何処かに行き、仕事をする回数も増えて来たのだった。
「よっ!
お前、世那が構ってくれないなら、自由気ままだな。」
「うるせぇ。」
慧斗は、そう冷たい声でぶった斬る。
「隣、良いか?」
と、言って座った。
「聞くより先に、座るな。」
そう言って、軽く睨む。
純はそれに構わず、パソコンを覗く。
それに、気付いた慧斗は、更に低い声で、
「覗くな。
企業秘密も入っているんだ。」
と、でも、純はヘラヘラしながら、
「見ても分かんねぇよ。
俺、馬鹿だから。」
そう言った。
話を変えようと、慧斗が
「あの件は、まだ、続いているのか?」
そう尋ねた。
「まぁ、ねぇ。
世那には悪いけど、学校を辞めて貰うために、こうするしかないしな。」
そう言って、苦笑いをした。
本当は、サッサと片付けたい。
でも、徹底的に排除しなければならないから、仕方がない。
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