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そう。わたしのできること。それはただの笑顔。そしてそれは貴方だけに向けられたものではない。万人に向けられた、差別のない笑顔。わたしたちはそのように造られている。わたしは、貴方がわたしを愛した分、わたしも貴方を愛する。
貴方は、それを許さない。サーカステントの、ほんの小さい世界だけども、そのもとに集ったすべてのニンゲンを笑わせている筈の貴方が。
貴方は、わたしを必要としている。だから、わたしを独占しようと躍起になり、その自分の浅ましさに、絶望する。
疲れている貴方は、ノラ犬のようにうろうろと部屋の中をうろつき、やがて頭の中に一杯になった?マークに目が眩み、再びソファへと倒れ込む。
まばらな髭に包まれた口が、大アクビにこじ開けられる。
それが閉じる頃、貴方の瞼も、また閉じられる。
眠りなさい。深く。
残酷なまでに何も変わらぬ明日の為に。
眠りなさい。もっと深く。
朝までの数時間は、貴方の為だけにある。
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