りょうのヒミツ
全2/5エピソード・休載中
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りょうのヒミツ

「兄貴、俺この家出て行くわ」 1人で住むには大きすぎるワンルームマンションの玄関で、会社から帰ってきたばかりの兄に声をかけた。 「とも‥いつから俺の事兄貴なんて呼ぶようになってん?」 ふふっなんて笑いながら、 質問の答えをまっすぐ返さない兄はほんま、彼の恋人、涼によう似てる。 (似た者夫婦やなくて、似た者カップルやな) 部屋に入っていく兄の後ろをため息一つ吐いてついていった。 このマンションを見学しに来た時には、3DKやった、家族で住むには標準的な広さやったこの部屋は、キザな兄貴のせいで、もう一度足を踏み入れた時には仕切りは全部ぶち抜かれ、デカすぎるワンルームになっていた。 室内はシックにリフォームされ、キングサイズのベッドに、真っ黒な存在感のありすぎるソファ、ガラス板のテーブルに、でかいテレビと、これでもかと、兄の経済力を見せつけられたと同時に、これ、兄弟で住むのには気持ち悪いやろと兄の趣味にため息が出た。 「あ、涼来てたん?」 ソファの肘掛にかけられた、スーツの上着にちらりと目を落として、兄が涼の存在を探す。 「今、シャワー浴びてる」 「ふぅん、そう。」 ちらりと風呂場の方を見て、自分も上着を脱ぎ始めた。 「で、涼となんかあったん?」 「な、何もないよ」 (今はまだ‥) と、質問された答えの半分の言葉を飲み込んだ。 この時はまだ、兄は2人の関係を俺には話していなかった。目にかけている後輩だといい、俺と仲良くなった涼にいつでも遊びに来ていいからと合鍵を俺の目の前で渡した。 「そうか?じゃあ何で家出て行くん?」 チラリと俺を横目で見て、やっと本題を切り出す。 もう、ほんま面倒くさい。回りくどい。 「‥‥やって、この部屋、冬めっちゃ寒いし」 簡単な理由を探し出して話を早く進めたかった。 ほんまの理由は、ほんの数週間前。 シャワーを浴びている最中に聞いてしまった。2人の会話。 「どこやったかな?」 買ってあったはずのシャンプーの替えを探して、脱衣所の引き出しを開けた時 「あかんよ、ともにみられるやん」 「大丈夫や、とも、お風呂はいったら長いから」 クスクスクスクス2人の笑い合う声がして、 ? 耳を少し済ませば 「‥涼、好きやで」 「俺も、ともやの事好き」 って2人の嬉しそうな声が聞こえた。
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