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「恵梨奈が今度引っ越したアパート、出るらしいよ」
「えっ、それって……」
「事故物件なんだって。
だから、気をつけて。
もしかしたら、恵梨奈も……」
雨が降る夜中の12時、私のスマホにメールが届いた。
【お前は誰だ?
ここから出ていけ!】
私はそのメールを見て、ゾッとした。
イタズラにしても気味が悪い。
私がそう思って、テーブルにスマホを置いたとき、部屋の灯りがパッと消えた。
そして暗闇に包まれた部屋の中で、女の声が聞こえてきた。
「ここから出ていけ!」
激しい雨が降る深夜に、人の声が聞こえるはずなんてない……。
私は恐怖に怯えながら、暗闇に包まれた部屋を見回していた。
するとそのとき、けたたましい雷鳴とともに部屋の中が照らし出される。
私はその瞬間に見てしまった……。
窓際に立つびしょ濡れの女の姿を……。
私は生きた心地もしないままに、アパートを飛び出し、激しく雨が降る道路へと飛び出した。
そして、そんな怯えた私を車のライトが照らし出す。
私は猛然と迫りくるワゴン車の前に立ち、そこから動くことができなかった。
「ここから出ていけ!」
私の耳元で女の不気味な声がした。
やっぱりここは、事故物件。
私はこの部屋に来るべきじゃなかったんだ……。
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